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藤原ヒロシやピッチョーリに加え、新メンバーも参画 勢いを増す「モンクレール ジーニアス」の新コレクション大解剖

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「モンクレール(MONCLER)」は2月20日、今やミラノ・ファッション・ウイークに欠かせない存在となっている「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」の2019-20年秋冬コレクションを発表した。昨年2月にスタートした同プロジェクトでは、さまざまなクリエイターとの継続的なコラボレーションにより「モンクレール」の多様な可能性を探求。今季はミラノ中央駅沿いの高架下にクリエイターごとのスペースを用意し、その才能と個性を生かして制作されたコレクションをインスタレーション形式で発表した。

メンバーは、既存の「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli )、「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」の藤原ヒロシ、シモーン・ロシャ(Simone Rocha)、クレイグ・グリーン(Craig Green)、「モンクレール グルノーブル(MONCLER GRENOBLE)」のサンドロ・マンドリーノ(Sandro Mandrino)、「パーム・エンジェルス(PALM ANGELS)」のフランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)に加え、今回から「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」のマシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)と、ロンドンを拠点に自身の名前を冠したブランドを手掛けるリチャード・クイン(Richard Quinn)が参画(過去2シーズンにわたり協業した「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」の二宮啓はプロジェクトから離れた)。また、これまでデザインチームで手掛けていた「2 モンクレール 1952(2 MONCLER 1952)」も、ウィメンズにはフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)による「セリーヌ(CELINE)」でプレ・コレクションを手掛けていたヴェロニカ・レオーニ(Veronica Leoni)、メンズには「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」や「MSGM」のメンズ・コレクションを手掛けていたセルジオ・ザンボン(Sergio Zambon)を新デザイナーとして迎えた。ここからは、各コレクションの特徴をレポートする。

「モンクレール リチャード・クイン」のテーマは“プリントの可能性”。クインらしいフラワーモチーフで埋め尽くされた空間で、フラワー、ポルカドット、レオパード、ゼブラといったどこか懐かしさを感じさせるプリントアイテムを提案した。異なる柄を組み合わせる華美なスタイルと、1950年代や60年代風のシェイプが特徴的だ。

「モンクレール ピエールパオロ・ピッチョーリ」は今回、アフリカの職人技を生かしたブランド「レムレム(LEMLEM)」も手掛けるモデルのリヤ・ケベデ(Liya Kebede)とタッグを組んだ。テーマは“クチュールとカルチャーの結合”。前秋冬に続きエレガントなイブニングドレスのコレクションを打ち出すが、今回はよりドラマチックなフレアラインとアフリカのテキスタイルを彷彿とさせる柄のインターシャがポイントになっている。

「モンクレール 1952」は、メンズとウィメンズにそれぞれデザイナーが就任したことで、世界観の違いがより明確化した。ウィメンズは、 “多様性の強さ”をテーマに、ハイテク素材や実用的なシェイプをレイヤードすることで、「モンクレール」のメゾンコードを再解釈。着用する人次第で変わる自由な着こなしを提案する。一方、メンズのテーマは“リラックスしたスピリット”。ユースカルチャーに根付いたブランドのヘリテージを再解釈し、グラフィックを用いたポップで実用的なスタイルにリラックス感を取り入れた。また、ミラノ発のレザーグッズブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」とのコラボバッグも発表。

「モンクレール グルノーブル – サンドロ・マンドリーノ」のテーマは、“無限の技術的フリーダム”。マンドリーノはウッドストックが50周年を迎えた今、マウンテンギアがフェスティバルにも適しているという考えを導き出し、レイヤードや自由で賑やかなムードをスキーウエアやマウンテンウエアに取り入れた。ショップリフター(Shoplifter)という名で知られるアイスランド人アーティストのHrafnhildur Arnardóttir(フラプニルドゥル・アルナドッティル)と共同制作したカラフルなセットの中で、音楽に合わせてモデルたちが思い思いに踊る姿も印象的。

「モンクレール シモーン・ロシャ」は、トレードマークであるロマンチックなシェイプを“プロテクション”として捉え、そこからイメージを膨らませた。テントやブランケットから着想したボリュームのあるシルエットをケープとして提案したり、イギリスの伝統的な刺繍をアウトドアアイテムに用いたりと、“自然におけるユニフォーム”というテーマを探求している。

「モンクレール クレイグ・グリーン」は“歪曲的ボリューム”をテーマに、これまで2回にわたるコラボのアイデアをさらに発展させている。考案したのは、畳んだり、平らにすることで収納できる軽量なモジュールの集合体を表現した大胆なボリュームのアイテム。今回もコンセプチュアルな表現で群を抜いているが、これがどのようにコマーシャルピースに落とし込まれるかにも注目だ。

「モンクレール 1017 アリックス 9SM」が掲げるのは、“モダンな機能性と快適さ”。「1017 アリックス 9SM」のモダンな美学やテクニックを「モンクレール」の機能性や着心地の良さと融合し、インダストリアルな雰囲気の漂う都会的なアイテムを仕上げた。シグネチャーのバックルももちろん用いられている。

「モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ」は、 “メトロポリタンクロスオーバー”をテーマに、ビンテージライクなミリタリーと「モンクレール」の最新テクノロジーを掛け合わせた。今季もアイキャッチなタイポグラフィやモチーフを背中に施したアウター類が豊作。「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」とポケモンの合同プロジェクト「サンダーボルト プロジェクト(THUNDERBOLT PROJECT)」とのコラボによるフーディとダウンジャケットも提案する。

「モンクレール パーム・エンジェルス」は、オーストリア人ウィリー・ドルナー(Willi Dorner)とのコラボレーションによる写真が飾られたギャラリーのような空間に、ラミネート加工を加えた色とりどりのつなぎのようなダウンを展示。そこにボタンを押すとカラフルなスプレーが噴射される仕掛けを用意し、テーマである“アートの破壊”を表現した。